夢に良く知った人が出てきた。
フェイドだ。
出てきたのは久しぶりだ。たいていは、昔の記憶をなぞるような内容で目新しいことはない。
今日見た夢は違った。
いいかい、エオ。今、君が置かれている状況は極めて特殊なものなんだ。時間も空間もあまり、意味を持たない。別世界の出来事がこの世界での出来事になっている。そういう経験をしているはずだ。君が今、思っていることが、感じていることだけが正しさを持つ。そういう状況だ。でも、大丈夫だ。君にはそれを乗り越えるだけの力と仲間がいる。不安に思うことはないよ。
そんなことだけを言って、一方的に言うだけ言って彼は去っていった。
いつでもどこでも身勝手な、本当に身勝手な人だ。
でも、その身勝手の血は自分に流れていると思う。引き継いでいるのは名前ぐらいだって考えてたけど、勘違いだったみたい。